耐候性鋼材 COR-TEN鋼
「サビが緻密な保護層を作って母材へのサビの進行を抑制する」というコルテン鋼は1933年にUSスチール社が開発し、日本では1958年から新日本製鐵が製造販売を始めた耐候性鋼材です。
年月の経過とともに茶褐色の保護性サビを作り母材を守るという性質をもった鋼材です
ので無塗装で錆びた状態でも、そのまま構造体として使うことが出来ます。
参考文献
千曲鋼材(株)
https://www.chikuma-kozai.co.jp/product01.html
おしえてコルテン https://chikuma-kozai.co.jp/topics/wp-content/uploads/2021/05/おしえてCOR-TEN-鋼.pdf
日本製鉄(株)
https://www.nipponsteel.com/product/plate/list/04.html
初期のオレンジ色のサビは雨水などで流れて周囲を汚しますが、屋外で乾湿を繰り返す
事により、6カ月以上経過した茶褐色のサビは緻密な保護性サビになっていきますので、
徐々にサビが流れにくくなります。
無塗装で施工し、塗装の塗り替えも不要ですので、塗料を必要としません。また、解体する場合も鋼材は溶かしてリサイクルができるため、たいへんエコな材料になります。
COR-TENは経年変化により存在感のある明るいサビ色から、渋みのある落ち着いた茶褐色のサビ色に変化していきますので、その変化も楽しんでいただくことが出来ます。
竣工時の写真 |
3年経過時の写真 |
■さびの美
さびの色は自然界に存在するアースカラーの色ですので、さまざまな色と好相性です。
植物の緑色ともとても相性が良い色ですので、公園や庭などの外構部分にとてもマッチ
しますが、力強い色調でもありますので、意匠性の高い製品にすることができます。
■加工性について
ほぼ普通のスチール(普通鋼)と同様の加工ができます。
機械加工ではシャーリング加工、タレットパンチプレス加工、パンチング加工、レーザー切断加工、ベンダー曲げ加工、ロール曲げ加工などができます。
溶接加工ではCOR-TEN用の溶接棒を使用して、アーク溶接、アルゴンTIG溶接、CO2ガス半自動溶接などの溶接ができます。
他にも様々な加工ができますので、複雑な形状をご希望であれば、ぜひ当社にお問い合わせください。
■材料について
COR-TEN鋼の材料の種類は普通鋼に比べて少ないですが、鋼板の他にもLアングルや角パイプ、丸パイプ、溝形鋼などもあります。
また、ビルドH形鋼も製作することができます。
千曲鋼材(株)在庫表
https://chikuma-kozai.co.jp/pdf/chikuma_zaiko.pdf
■塗装について
COR-TEN鋼は普通鋼と同様に塗装ができます。
ただし、COR-TEN鋼は「保護性サビ」を作るという性質を持っていますので、塗膜が劣化した場合は、COR-TEN鋼が錆びてしまい、塗膜を剥がしていきます。そのため、塗膜を長持ちさせるためにリン酸塩皮膜処理やプライマー塗装などを行い塗膜内部でサビが進行しないようにする工夫が必要です。
■VINCOR
COR-TEN鋼を屋外にて2~3年ほど暴露して保護性サビを出したビンテージコルテン鋼です。
日本製鉄(株)と千曲鋼材(株)が協同で製作したサビ鉄板で、COR-TEN鋼だからできる深い色合いのサビが意匠性をさらに上げてくれます。
当社はこのVINCORを使って壁パネルやサイン、モニュメントなどを制作いたします。
とても重厚感と存在感がある銅材ですので、アイキャッチ的な製品を作ることができます。
VINCOR紹介ページ https://www.chikuma-kozai.co.jp/product01.html
VINCORは屋外暴露を行って保護性サビを出していますが、今後もサビは少しづつ黒色に変化していきます。
黒くなった黒サビは「安定さび」とも言われ、塩害などの外的要因がなければ永遠に母材を守るサビになるため、鋼材が朽ち果てることはありません。
|
施工例
大阪市長居公園モニュメント揚水ハンドル,吐水口,水位観測装置 COR-TEN鋼t6.0 素地サビ仕上
愛知県内某博物館外壁パネル COR-TEN鋼t2.3 素地サビ仕上 |
滋賀県内某社屋施設名称サイン COR-TEN鋼t12.0 素地サビ仕上 |
京都府内某旅館エントランスポーチ上り框 COR-TEN鋼t3.2 素地サビ仕上 |
大阪府豊中市内某集合住宅エントランスサイン COR-TEN鋼t6.0 素地サビ仕上 |